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自作小説「ウラノスの地図」の原稿置き場です。 ※未熟ではありますが著作権を放棄しておりません。 著作権に関わる行為は固くお断り致します。 どうぞよろしくお願い致します。
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Prologi

『よくぞこの試練を乗り切りここまでたどり着いたなフハハハハ!』
『こいつがヨゼフ・・・!オレ達の 敵!』
『だが貴様らの命運は尽きた!さあ 我が悪の力に平伏すがいい!』
『くっ・・・!なんという強い闇の力だ・・・!僕達はここで負けるのか!』
【魔剣士は3887のスコダを受けた!】
【竜騎士は3776のスコダを受けた!】
【賢者は4665のスコダを受けた!】
【吟遊詩人は4221のスコダを受けた!】
【全滅した・・・】

『みんな!負けちゃ だめ!』
『ヘイムダリヤ!君は 生きていたのか!』
『私達の 魂を使って!』
『アルジナ!フォスト!みんな!』
『さあ これが最後の力 もう私達には 貴方達を助けることは できない』
『僕らの未来は 君達にかかっている!』
『さあ!甦れ!光の勇者達よ!』

『ここ は・・・』
『僕達 生き返ったんだ!』
『ヨゼフはどこ?』
『あの闇の渦を見て!きっとあそこにいるんだわ!』
『よし 準備はいいか?もう後には 戻れない』
『オレ達の手で 世界に光を!』

【凄まじい闇の力を感じる。
  心の準備はいいか?
  >もちろんだ!
   まだまだ       】


「・・・・・・」
「・・・・・・」
「え、何。なにこの展開」
「俺に聞かないでよ・・・」
「まさかこの流れってさ・・・この後結構時間かかるよね?倒すの、かかるよね?」
「確かまず闇の勇者達4人を探して味方に付けて、4つの伝説の武器を手に入れるだろ、あといくつか宝箱回収して・・・レアアイテムあるから。あ、でも敵めっちゃ強いからこまめに回復しないと死ぬよ?あと多分・・・言うか言うまいか迷ってたけど、こいつ吟遊詩人とか魔法系の攻撃なかなか効かないから、打撃系のジョブに変更したほうがいいと思う。周りの蛇は魔法じゃないと効かないけど、体力少ないから賢者に回復と攻撃魔法任せて、さっさと本体倒さないとこっちが受けるスコダが大きい」
「うわー・・・めんどくせえ・・・」
少年はそのまま仰向けになる。
「なんだよぉ・・・おれさっさとクリアしたくてもう二日徹夜なのに・・・もう無理。無理無理」
「だから言っただろ、これ結構分量あるから時間かかるって」
「おれせっかちなんだよ!」
「知らないよ!」
駄々をこねる苔色の髪の少年を見下ろしながら、桃色と金色の混じった、独特の髪色の少年は嘆息した。
「トゥーレさあ・・・もう少し計画的にやろうぜ?ゴリ押しでここまでやれるのもある意味すごいけどさあ」
「ていうかさぁ、ヘロはこのパーカト、普通に食べて寝て5日でクリアしたんだろ?徹夜すれば3日で出来るって計算になるじゃん?」
「あのね、人間そんなにぶっ続けで徹夜はできません。自分の体力過信すんじゃねえよ」
「あーもー!!納得できねええええ!!!」
トゥーレは地団駄を踏む。
「やっぱさあ、ヘロのシクル、何か改造してるんじゃねえの?おれのシクルでやるとしょっちゅう不具合起こるしさあ」
「改造してないってば。端末おんなじなんだから関係ないよ。強いて言えば俺はお前みたいにシクルを酷使してません」
「おれだってしてねえし!」
「意味なく使用してるじゃんか。自分が楽したいからってさあ。しかも使ったら使いっぱなしで練成も丁寧にしないじゃん」
「お前みたいにまめにする男がどこにいんだっつーんだよ。女々しいな」
「俺はやることきちんとやってるだけです!それにさ、シクルに頼ってばっかりだと体だって鈍って行くんだって。剣術とかはシクルでどうこうなるもんじゃないだろ。やっぱ普段からある程度は体慣らしとかないと」
「だらだらしたいのは人間の性だろぉ・・・やっぱお前みてえにおれできねえ・・・」
トゥーレは空を仰ぐ。
・・・目が死んでいる。
ヘロは嘆息した。
「だらだらしたいのは俺だって一緒だっての。ただ、さぼって面倒ごとなるくらいならある程度きちんとやって後でだらだらしたいんだよ俺」
「それがやれるから秀才なんだろなあヘロって」
「だから・・・俺より出来のいいやつはごろごろ―」
「やっぱ敵わねえなあ」
トゥーレがしみじみと呟く。
ヘロは再び嘆息した。
「だから・・・なんでパーカトの話からそこまで広がるんだよ。壮大すぎんだよお前の思考は」
「それはおれの取り柄なので」
「やーれやれ。否定はしないけどさ」
ヘロは石棚を開けると、そこから冷やしたクーヘルを取り出して、トゥーレに放り投げた。トゥーレは片手でそれを掴む。
クーヘルにかぶりつきながら、もう一度トゥーレは溜息をついた。
「あーあ・・・あと4日で連休も終わりかぁ・・・めんどくせえ・・・」
「同じく・・・」
二人は肩を落とす。
「おれ達もう5年生だもんな・・・あ、ほら、【試験】の受験資格出てくるじゃん」
「は?ああ・・・あれね・・・」
「んだよ、どうせ受けるだろ、お前も」
「うーん・・・」
「え、なんでそこ悩むの。10年に一度きりなんだぜ?次のときおれ等受験資格ないじゃん!」
「俺別にさぁ・・・ああいうのどうでもいいっていうかさぁ・・・」
ヘロはクーヘルをこまこまとちぎる。
「うわ、女々しい食べかたすんなよ」
「うっせえよ。口が小さくて悪かったですね」
むっとしながらヘロは小さくちぎったクーヘルを口に放り込んだ。
「俺さ、平凡に暮らせればそれでいいんだよな・・・別にこの星出たいとも思わねえし。普通に嫁さんもらって、子供育てて、玻璃鍛冶やって、普通に爺ちゃんなれば幸せだと思わね?」
「はぁ?お前ちょっと頭おかしい!」
「うっせえな!」
「おれみたいな中の中か下か上か、ってくらいの人間でさえ冒険に憧れんのに、なんでお前にはそう、野心とかってものがないわけ!?冒険心はどこ行ったし?心の友ぉ!!」
「おーちーつけ!そりゃ、旅行とかならいいかとも思うけど、なんつーか・・・そういうのってさ、遊びみたいに思えて―」
「はぁ?!」
「最後まで聞け!俺達親に働かせて今まで飯食って生きてきたのにさ、そういう親父達の苦労何も振り返らないまま冒険とか、楽しいことだけして生きていていいのかとか・・・色々考えてさ・・・それに、俺、自分の家嫌いじゃなかったし」
「お前・・・」
トゥーレは深々と嘆息した。
「それってすげえいい考えだとはおれも認める。だけどさ、お前絶対、爺ちゃんになってから後悔すると思う」
「そうかな」
「そうだよ」
トゥーレは体を起こした。
「おれの父ちゃんはこう言ってたよ、男は浪漫に生きるべきだって。言葉自体はこう・・・まあ恥ずかしいというか、臭いけどさ、でも、男ってやっぱある程度のそういうもの持って生まれてきてるんじゃねえかとおれは思うわけ。お前ってなんでも人並み以上にできるからさ、妙に考え方だけ大人びすぎてんじゃねえのかな。大事な過程すっ飛ばしてね?絶対後で後悔するよ。子供時代は大事にしろって大人みんな言うじゃんか」
「まあ・・・ね」
「あとあれだ、お前の場合、ジャクリーヌだけ選ばれて自分が選ばれなかったらどうしようかとかいらぬ心配してんだろ」
トゥーレはにやにやとヘロの顔をのぞき込む。ヘロはムッとした。
「なんでそうなるんだよ」
「いやいやいや。認めろって。どう考えてもヘルメスの杖に選ばれるのはジャクリーヌしかいねえだろ。既に儀式済ませてねえのに使いこなしてるじゃん」
「あんなの使いこなせてるうちに入んねえよ」
「またまた。とにかく、魔導士枠はジャクリーヌで決まりとして、問題は勇者枠だもんな?お前はそこそこ秀才とはいえ、天才じゃねえもん。特にマルスのキリシェ=ミナって奴は今世紀の宝と言われてる名高い天才だもんな?他の星にもお前よか能力高いのいるかもしれねえし、お前がプルートの鏡に選ばれる確率はあんまり高くない」
「あのさあ・・・別にそんなんで受けたくないわけじゃねえって。受からないのは分かりきってることだろ。ていうか受かっても行きたくねえもん。別にジャクリーヌが誰と旅に出ようが俺は何にも心配してねえって。もし心変わりされるんなら俺がそれまでの相手だったってことだし」
「はぁ?何弱気になってんのさ、馬鹿じゃね?」
「うっせえ」
ヘロは口をとんがらせた。
「今でも、ジャクリーヌに好かれたこと信じられねえんだもん。あいつほんとは華やかなやつなのにさ、俺のせいで羽伸ばせてないんじゃないかとかさ、色々考えるし、でもあいつが寄りかかれる男になりたいとも思うし、そのためにはやっぱり堅実路線がいいかなとか」
「はいはいノロケは聞きたくねー!!」
「話振ったのお前だろ!!」
「まーもーったく・・・おれが思うにさ、ジャクリーヌはやっぱりお前にも試験受けて欲しいと思うけどな」
「なんで」
「妹も言ってたけどさ、好きな奴とは一緒にいたいのが人情ってもんだろ。一緒のもの見て、笑ってたいとかさ。結果はどうであれ、二人で一緒に旅できる可能性があるなら、夢みたいって思うんじゃねえの?それに考えてみろよ、任期終わったら帝都暮らしは保証されるんだぜ、それこそ宝石とか綺麗な服とか、ジャクリーヌに着せてやれるじゃん。てかおれがそれを見たい」
「お前な・・・」
ヘロはこめかみを抑える。
「まあ・・・あいつはそう言いそうなんだけどさ・・・」
ヘロは小さく呟いて、嘆息した。トゥーレは気を取り直したように再びシクルを起動させている。口笛すら吹いている。
―暢気な奴。
ヘロは苦笑した。けれどトゥーレのこういうところが嫌いじゃない。
保守的になりがちなヘロと、暴走しがちなトゥーレは、互いにいい相棒だった。





第一章へ続く






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